戸建ての暑さや寒さは屋根にも原因が!?リフォームで断熱性能は変わる?
住まいには夏の暑さもあれば、冬の寒さもあります。どちらにも対応できる住まいにしなければ、1年中快適に過ごすことは難しくなります。窓の遮熱や断熱対策はよく知られていますが、外壁や屋根からも断熱をしなければ、快適さは得られないでしょう。今回は、屋根からの断熱リフォームを考えてきます。どんなリフォームの方法があるのでしょうか。
日本に多い木造住宅は意外に断熱性が高い!?
意外かもしれませんが、日本に多い木造住宅は、元々断熱性がレンガや土の4倍、コンクリートの11倍あり、本来、夏は涼しく、冬は暖かい構造を持っています。木造以外の上記の建物では、断熱性が低いため、冷暖房設備が整っていたとしても、性能が1/4や1/11だけしかないということになることは、驚きではないでしょうか。それでも、木造住宅が暑さや寒さに弱いように感じられるのは、日本人の暮らしのレベルが高いせいなのかもしれません。
ただ、昨今の異常気象を見る限り、さらに快適さを求めることもやむを得ないでしょう。木造住宅での暮らしをさらに快適にするために、断熱リフォームへの期待は高まるばかりです。屋根一つとっても、高度な工夫がなされています。知れば知るほど、進化している木造住宅の断熱リフォームに感心することでしょう。
知っておきたい、屋根の断熱、遮熱の違い
断熱というと、熱を入れない、逃がさないというイメージでしょう。熱の移動をさせないようにし、夏の暑さや冬の寒さを防ぐ働きをします。では、遮熱というのは何でしょうか。熱をはね返すのが遮熱です。特にロフトや小屋裏などの屋根に近い空間の熱気を溜めないようにできるため、夏の暑さには有効となります。
どちらも夏の暑さに対しては有効ですが、より夏の暑さに対して重点的に対処したいのであれば、費用が若干安く済む遮熱対策になりますし、暑さ・寒さの両方を対策したいとなれば、費用がかかっても断熱対策にすることになるでしょう。
屋根の断熱、遮熱リフォームの種類と費用目安
主に塗装するリフォームと断熱材によるリフォームが考えられます。それぞれのリフォームの種類と費用目安を見ていきます。
屋根に塗装するリフォーム
屋根に塗装するリフォームの中では、断熱・遮熱塗料は費用が高めですが、効果が十分期待できるため、長い目で見ると一般の塗料よりコスパはいいと考えられます。ただし、塗装できる屋根とできない屋根がありますので、業者の点検や診断を依頼する時に問い合わせてみましょう。
断熱塗料 |
遮熱塗料 |
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内容 |
1年中、外からの熱や冷気の侵入を防ぎ、室内の温度を一定に保つようにする。 |
熱を反射し、屋根の表面温度を下げ、室内の温度を下げるようにする。 |
耐用年数 |
約15年~20年 |
約10年~15年 |
費用目安 |
約3,500 ~4,800円/㎡ |
約2,300 ~3,500円/㎡ |
あまり一般家庭では、汚れが目立ってしまうため、白系の屋根は少ないですが、白系でなくとも、明るい色を選んだほうが遮熱や断熱効果は高まります。熱の反射率が違い、黒に近くなればなるほど、熱を吸収してしまうからです。
ただし、地域によっては、色の制限がかかる景観法がある場合があります。また、どうしても汚れが目立つから明るい色は敬遠したいという場合は、明るい色にこだわる必要はありません。
屋根に塗装するリフォームの注意点
どんなに高機能を持った断熱・遮熱塗料を選んだとしても、業者に施工不良が起きては何のためのリフォームなのかがわからなくなってしまいます。そのためには、工事が確認できるよう、報告書として写真や動画で現場を撮り、作業書の記録を提出してもらいましょう。
注意点は次の3点です。
①3回塗りをしているか。
下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが正しい工程です。写真や動画と一緒に報告書をもらいましょう。
②1日1工程で、乾燥時間を設けているか。
1回ずつ塗り、乾いてから次に進むことになります。1日ですぐ終わる塗装はありません。
③塗料の量は適量か。
決められた適量を塗らなければ、塗料としての性能は発揮できません。量を記載した報告書をもらいましょう。
屋根の断熱リフォーム
築後、何もメンテナンスをしていない建物や約20年以上経っている古い屋根材など、劣化が進んでいる屋根では、塗装ができない場合もあります。その場合は、屋根材を交換したり、断熱材を重点したりするリフォームが必要です。
屋根断熱リフォーム |
天井断熱リフォーム |
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葺き替え |
カバー工法 |
断熱材充填 |
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内容 |
屋根材を新しく張り直すこと。断熱材一体型の横葺き金属屋根がおすすめ。 |
既存の屋根材の上に新しい屋根材を被せる、二重屋根にすること。断熱材一体型の横葺き金属屋根がおすすめ。 |
天井裏の床にグラスウールやセルローズファイバーなどの軽量素材を敷き詰めること。通気設備もセットにすることがおすすめ。 |
耐用年数 |
約15~40年 |
約20~25年 |
約15~20年 |
費用目安 |
約100~260万円 |
約80~180万円 |
約20~50万円 |
屋根の断熱リフォームの注意点
断熱に適した屋根材ということで、粘土瓦をすすめる業者もありますが、断熱性や耐久性があっても重さからすると耐震性に疑問がつきます。耐震性の面からも、少しでも軽い屋根材で断熱性の高いものを考えると、断熱材一体型の横葺き金属屋根をおすすめします。今人気のガルバリウム鋼板が主となりますが、断熱材が入っていることで金属屋根=熱いということにはならないからです。
知識や経験のない業者では、屋根材や断熱材の選択がいい加減になりがちです。実績のある、経験豊富な地元の業者に依頼するようにしましょう。
屋根の暑さ・寒さを防ぐリフォームのメリット
屋根は常に直射日光や雨風を受け続けています。屋根の真下になる部屋はかなり気温による影響を受けやすい状態だといえるでしょう。暑さや寒さの両方を防ぐとなると、断熱リフォームがおすすめですが、どうしても費用の負担が気になるというなら、業者にどのリフォームがいいのか、コスパと方法の相談を併せてしてみましょう。
ひとまず、暑さや寒さの両方を防ぐ断熱リフォームを行った場合のメリットを挙げてみます。
①冷暖房効果を高める
外気温の影響を受けにくくなり、室内が1年中快適な温度になるということで、これまで冷暖房の効きが悪かったという悩みの解決が期待できるでしょう。
②光熱費の削減
冷暖房の効きが良くなるということで、室温と設定温度の差が小さくなります。年間にすると光熱費が何万円という単位での節約になるでしょう。
③健康維持
特に高齢者や小さな子どもと暮らしている場合、室温の変化は自律神経への影響を及ぼし、知らず知らずのうちにストレスを与えてしまうことになります。ヒートショックから守ることにつながるでしょう。
屋根の暑さ・寒さを防ぐ断熱リフォームの補助金
国土交通省から屋根、天井の断熱改修は、すべての世帯に最大30万円の補助金交付があります。子育て世帯(18歳未満の子を持つ世帯)・若者夫婦世帯(夫婦どちらか39歳以下の世帯)は、「こどもみらい住宅支援事業」という枠で、45~60万円を上限とする補助額が支援されます。いずれも対象機関や建築士など、業者からの手続きが必要です。屋根断熱のリフォームを予定する時は、補助金の相談も業者にしてみることをおすすめします。