カラーベスト屋根の耐用年数や寿命について
どんな屋根でも、定期メンテナンスは必要となります。家は建てたら終わりではないのです。何も不具合を感じなかったとしても、点検をすると何らかの不具合が見つかる可能性もゼロではありません。もし、不具合を知らずに放置すれば、屋根の寿命を短くするばかりか、住んでいられなくなるほどの酷い状態になってしまうかもしれないのです。
今回は、カラーベスト屋根についてお伝えします。ご自宅が該当する場合は、よく注意してご覧ください。
カラーベスト屋根の特徴
メリット
1.耐震性に優れた軽さ
陶器瓦の屋根材と比べると、重さは約半分しかなく、耐震性に優れています。施工時にも運びやすいでしょう。
2.カラー・デザインが豊富
洋風から和風の外観、どちらにもマッチする、カラーやデザインの種類の多さに人気があります。
3.価格が安い
他の屋根材と比較すると、価格の安さが目立ちます。家の初期費用が抑えられる点で、選ばれやすくなっているのでしょう。
デメリット
1.定期的なメンテナンスが必要
塗装の劣化で防水機能が低下する可能性があり、10 年ごとの塗装メンテナンスがまず必要になります。
2.凍害に弱い
他の屋根材に比べて凍害に弱いといわれます。水分が膨張と収縮を繰り返すと、ひび割れやはがれなどの症状が出てしまいます。
3.雨漏りしやすい
複数の枚数をつなぎ合わせる隙間から、雨水が入ってしまう可能性があります。寒冷地では使用できないでしょう。
カラーベスト屋根の耐用年数と寿命
普及率の高いカラーベストの屋根ですが、耐用年数や寿命はご存じでしょうか。通常、カラーベストの屋根は、築20~30年が耐用年数といわれていますが、築8~10年ほどで定期メンテナンスを行っていた場合が前提となります。なぜ、築8~10年という定期メンテナンス時期があるのかというと、表面に施されたアクリル塗装の塗膜の寿命が約10年といわれているからです。
セメントが主成分のカラーベスト屋根は、塗膜の寿命で防水性が低下すると雨水を吸収しやすくなってしまい、寿命はどんどん短くなっていきます。まだ耐用年数に該当しないとしても、安心はできないわけです。定期メンテナンスの時期でなくても、劣化具合は点検をしてみないとわからないでしょう。
カラーベスト屋根のアスベスト問題
断熱性、耐久性に優れた、石綿素材のアスベストを含んだカラーベスト屋根材が盛んに使用されたのは、1961年頃からです。その後、発がん性や中皮腫の健康被害があると報告され、2004年にアスベスト屋根材は生産禁止、2006年には全面禁止となった経緯があります。
つまり、2006年以前に建てられた屋根材にアスベストが含まれている可能性が出てきます。今から16年前より昔に建てられた家で、カラーベスト屋根材をそのまま取り替えずに使用していたとすれば、はるかに耐用年数は過ぎていることや、禁止されている屋根材があること自体、危険なことです。
該当するのであれば、即、業者に点検を依頼しましょう。アスベストを扱うのには、専門知識が必要です。「アスベスト診断士」「石綿作業主任者」「特別管理産業廃棄物管理責任者」などの資格を持つスタッフが在籍する業者を選んでください。現在のカラーベスト屋根は安全です。
カラーベスト屋根周辺での不具合
10年ほどでカラーベスト屋根には塗膜の寿命がくるのですが、カラーベスト屋根周辺でも劣化が起こるパーツがあります。ルーフィングシート(防水シート)、棟板金です。他にも、コケや藻、カビが発生していることもあります。
特にルーフィングシートの劣化は、カラーベスト屋根の耐用年数より早く始まるため、注意が必要です。劣化に気づかないと、雨漏りになる可能性が高まってしまうでしょう。カラーベスト屋根の劣化も怖いですが、ルーフィングシートの劣化も見逃すと大変なことになります。
屋根の上のことは劣化がわかりにくいからこそ、定期的な点検やメンテナンスでカバーしていくことが重要です。
カラーベスト屋根の劣化症状とメンテナンス方法
カラーベスト屋根で起こる劣化症状の原因とメンテナンス方法をご紹介します。メンテナンスはDIYでできるものではありませんので、点検から業者に依頼することが一般的です。
①色あせ、ツヤなし
遠くから見ると目視でもわかる症状でしょう。新築当初の色からすると、黒ずんでいたり、白くなっていたり、ツヤがなくなっている状態です。塗膜がはがれていることにもなります。
原因は、1年中浴びる太陽光の紫外線や雨など、自然や天候の刺激によるものです。メンテナンス方法は、再塗装をすることになります。
②ひび割れ、反り、欠け、剥がれ
屋根に上って点検しなければわからない症状でしょう。屋根材自体がダメージで変形している状態です。塗膜もはがれているでしょう。
原因は、雨や凍結で膨張すること、太陽光で乾燥して収縮することの繰り返しによるものです。メンテナンス方法は、軽微であれば再塗装や部分補修ですが、雨漏りが発生する可能性や発生している場合は、屋根全体をリフォームするカバー工法や葺き替えをすることになります。
③コケ・藻・カビ
汚れた印象を与える他、屋根材自体がもろくなっている状態です。塗膜もはがれている可能性も高くなります。
原因は、防水力が弱くなった部分に水分が溜まることによるものです。メンテナンス方法は、高圧洗浄をし、再塗装をすることになります。
④棟板金のくぎの浮き、抜け
カラーベスト屋根の一番上の部分で、通常はくぎで固定されて動かない部分になりますが、浮きや抜けの症状で飛散しやすくなったり、雨が侵入しやすく、雨漏りや下地までの劣化を引き起こしてしまったりします。
原因は、気候や気温の変動で繰り返される膨張と収縮によるものです。メンテナンス方法は、すべてのくぎを点検し、再打ちつけをしたり、棟板金を交換したりすることになります。
カラーベスト屋根のメンテナンス費用相場
屋根面積によって費用の違いはありますが、一般的な広さで2階建てまでの高さでの費用相場です。だいたいの費用がわかっているだけでも、メンテナンスに対する心構えが違ってくるでしょう。
工事内容 |
費用相場(税込) |
ひび割れ |
1.1~3.3万円 |
割れ・欠損 |
1.1~5.5万円 |
棟板金交換 |
3.3~16.5万円 |
塗装 |
44~88万円 |
カバー工法 |
88~132万円 |
葺き替え |
66~220万円 |
足場仮設 |
11~22万円 |
カラーベスト屋根に進化の朗報
他の屋根材に比べ、カラーベスト屋根は定期的なメンテナンスを特に必要とします。メンテナンスの頻度が増えることで、初期コストは低いものの、ランニングコストが増えてしまうことがデメリットですが、リフォームで次回もカラーベスト屋根にしたいという方にとって、朗報を一つお伝えしましょう。
今、一番新しいカラーベスト屋根は、耐用年数が30年といわれるものが出ています。築10年、20年での塗装が不要だともいわれ、これまでメンテナンス費用がかかるといわれた定説を覆すものです。従来のカラーベスト屋根より初期費用がアップするかもしれませんが、カラーベスト屋根にこだわりを持つなら、新しく進化したカラーベスト屋根を採用してみる手はあるでしょう。
ただ、塗装が不要だとしても、何もしなくていいわけではありません。点検はいつでもするようにしましょう。