屋根葺き替えの費用相場は?見積もり明細で確認すべきポイント
屋根葺き替えをしなければならない場合
屋根葺き替えは、屋根のリフォームで一番大きな屋根工事となります。当然、それだけ劣化しているために行われるのですが、具体的には、“屋根材、防水シート、野地板まで劣化が進行している”状態だからです。
築数年、数十年でそれほど傷むはずはないと思っているかもしれませんが、実は屋根に上るとあちこちに傷みが発生していることは珍しくありません。一部の補修や修理で直せればいいのですが、そうはいかない状態であるために、屋根葺き替えが提案されるのです。
また、屋根のリフォームの別の方法として、カバー工法という既存屋根材の上に新しい屋根材を被せる方法もありますが、既存屋根材がしっかりしていることが前提になります。すでにどこかの箇所に不具合がある場合は、カバー工法ではなく、葺き替えになるということです。しかも、カバー工法では、煙突や天窓などの出っ張りがある建物には不向きで、やはり葺き替えになります。
定期的なメンテナンスをしていても、いつかは屋根葺き替えの時期はやって来ます。困ることにはなりますが、いつかはという、心の準備だけはしておきましょう。
屋根葺き替えの費用相場は?
屋根葺き替え工事となれば、屋根全体にかかわる規模が大きな工事になるため、費用相場も高い金額になってしまいます。屋根の葺き替えの費用相場は、30坪の住宅で140万円〜200万円ほどかかります。個々の建物によって屋根材の種類、屋根の面積、屋根の形状などが違うため、金額には幅が出るのです。アスベストを含んだ屋根材となると、さらに別途70~200万円がかかるため、かなり覚悟の出費が必要となりますが、屋根全体をリフォームすることで、間違いなく建物の耐用年数を延ばすことは可能でしょう。
屋根葺き替えの費用に含まれる項目は、次のようになります。
足場・養生費、既存屋根材の撤去費、野地板の補修費、防水シート費、屋根材、棟板金費、軒先・ケラバ費です。
必ず、相見積もりを取る
業者を決めるには、信頼できる方に紹介されたとか、評判がいいからここにお願いしたいという意中の業者がない限り、最低でも3社以上から相見積もりを取りましょう。金額や信頼度を比較するためには絶対必要だからです。相見積もりをお願いしたいといえば、業者同士で競争心理が生まれ、通常なら、少しでもいい印象を与えて受注しようという心意気が見積書に表れることになります。
屋根の状態を点検・診断後に見積もりが出るわけですから、事前に業者の対応の仕方も加味した上で決めることが大事です。
相見積もりの時の注意点ですが、事前に予算をいわないようにしましょう。高ければ、それなりの金額の部材を上乗せされる可能性があり、安ければ手抜きをされる可能性があるからです。何もいわずに出てくる金額を比較するようにしましょう。
屋根葺き替えの見積もり明細で注意する確認ポイント
屋根葺き替え工事の見積もりを取った時に、確認すべきポイント3つを紹介します。もし、以下のような見積書が出てきたら、説明を求めましょう。明確に説明がなく、謝罪や書き直しもない場合は、悪徳業者である可能性が大きくなります。
①手書きである
見積書は、最初に金額を提示する重要な書類です。単に見積書さえあればいいというものではありません。今時、どんな業界でもそうですが、昔ながらの手書きで見積もりを提出していると、汚さが目立つことや企業として大きな金額の工事に対する信頼度が疑われます。主に、未だに訪問営業で見られるようで、不安をあおる材料にしかならないでしょう。
②「一式」の表記である
よくいわれるのが、単価や数量の欄に「一式」と入っていたら要注意だということです。論外だといっても過言ではないでしょう。相見積もりを取った場合、他の業者と比較すると一目瞭然でしょう。通常は、屋根工事をする建物の形状・面積・屋根材はそれぞれ違うため、工事内容と共に単価と数量(面積)が入っていなければ、おかしいのです。
③部材の種類が大雑把である
「一式」表示に通じるものですが、使われる部材を単価や数量まで事細かく記載していなければ、手抜き工事につながったり、高い金額にされてしまったりしている可能性があります。どうせわからないだろうと考える心理が疑われます。
見積もり明細以外でも注意したいこと
見積もり明細で主に注意したいことを述べましたが、それ以外にも注意したいことがあります。
①すべての部材の商品知識が豊富であるか
どんな質問でもていねいに回答してくれ、素人にもわかりやすく商品の特徴を伝えてくれる担当者であれば、予算内での提案を適切にしてくれるはずです。
②瓦を扱う場合、有資格者であるか
必ずしも、瓦を葺き直す場合に必要となる義務資格ではありませんが、あったほうが瓦のプロとしてわかりやすい目安となります。資格には、以下のようなものがあります。
「かわらぶき技能士」「瓦屋根工事技士」「瓦屋根診断技士」
③地域密着型の優良業者であるか
長年、地域に根ざして屋根工事全般を請け負っている業者なら、これまでの実績が豊富で、いろいろな経験もしてきているはずです。地元で商売ができているのは、仕事がていねいで評判がいい証拠となるでしょう。
④対応がていねいで早い
問い合わせの段階から、対応がていねいで回答も早ければ、企業姿勢として信頼できるものがあります。実際の現場担当者もそうでなければなりませんが、
なぜ、業者によって屋根葺き替えの金額が違うのか?
屋根葺き替えといっても、相見積もりで金額に差が出る理由は何でしょうか。例えば、同じ時期に販売された建売住宅だとしても、同じ金額で屋根葺き替えができるとは限らないのです。選ぶ屋根材が違うのはもちろん、屋根面積や屋根形状、屋根勾配などが違うためです。もし、たった1枚の屋根材を取り替えるだけならさほどの差はないかもしれませんが、屋根全体として見ると大きな工事になるため、工事項目も多くなり、積み重ねで費用の差が生まれてしまいます。
他にも、だいたい、工事費用の10~15%として設定される諸経費の項目で差が出ることもあります
現在の屋根と葺き替え可能な屋根材
見積もりの明細の中でも、屋根材を何に取り替えるかが重要になります。どんな屋根材にも替えられるというものではなく、基本は、現在の屋根材より重いものはNGです。では組合せを見てみましょう。
現在の屋根材 |
新しい屋根材 |
|||
瓦 |
スレート |
アスファルトシングル |
金属 |
|
瓦 |
○ |
○ |
○ |
○ |
スレート |
× |
○ |
○ |
○ |
アスファルトシングル |
× |
× |
○ |
○ |
金属 |
× |
× |
× |
○ |
このように、希望する屋根材にはならない可能性もあります。費用と同時に、屋根材の相談も業者に相談することをおすすめします。
瓦から瓦へ替える場合は、葺き直しと呼ばれます。瓦だけの特徴で、瓦の再利用ができるため、費用が安く済みますが、すべての瓦が適しているのではなく、粘土瓦のみになります。