屋根の葺き替え時期はいつ?劣化の症状について解説
屋根は定期的なメンテナンスをしていても、経年劣化による傷みは避けられません。先延ばしにしていたとしても、いつかは屋根全体の工事として新しい屋根材と取り替える、葺き替えをする時期がやって来るものです。どういう症状が出れば、屋根は葺き替え時期なのでしょうか。
気になる劣化の症状と葺き替え時期、費用などの目安を解説していきます。
葺き替えが必要な屋根の劣化サイン
屋根の上で起きていることは、自分で確かめることはできません。梯子などで上って確かめようとすることは大変危険で、症状の判断も難しいため、屋根修理業者に定期的な点検を任せましょう。その上で、次の症状を指摘された場合や、すぐに葺き替えを提案された場合は、かなり劣化が進行している状態です。
ひび割れや欠けが全体に出ている
耐用年数があっても、経年劣化でひび割れや欠けは出やすくなります。雨漏りになったり、屋根材自体、落下の可能性が高くなったりする危険性が増しているでしょう。
コケや藻、カビが繁殖し、変色している
コケや藻、カビの発生は、塗膜がはがれて防水性が落ちている証拠です。再塗装をしてこの状態であれば、なおさら深刻な状態でしょう。屋根材がボロボロになるのは目に見えています。
浮いているような感じがある
屋根に登った時に、フカフカする場合は、屋根材内部の野地板まで水が浸透してしまっている恐れがあるので早急に葺き替え工事が必要です。
雨漏りで水が染みている
雨漏りを修理したとしても、耐用年数によっては屋根材だけの問題ではなく、建物に影響している可能性もあります。ルーフィングや野地板といった、内部が腐食しているかもしれないからです。
目安となる、屋根の葺き替え時期
屋根の葺き替えを行わなければならない時期を逃していると、屋根だけの問題にかかわらず、建物の寿命にまで影響を及ぼしてしまいます。屋根材によって耐久性は違いますが、耐久年数は、再塗装や修理などのメンテナンスをしていた上での年数です。何もしていなければ、ダメージはもっとあるでしょう。今から、主な屋根材の種類と耐用年数、特徴を見ていきますので、屋根の葺き替え時期の参考にしてください。
スレート屋根:耐用年数20~30年
特徴:軽量で価格も手頃、人気のある屋根材です。再塗装の目安は10年と早く、マメなメンテナンスが必要になり、メンテナンスをしないと劣化も早くなります。
ガルバリウム鋼板:耐用年数25~35年
特徴:軽さは屋根材で一番軽く、色やデザインなども豊富、耐候性や防火性にも優れた総合力で、スレート屋根材以上に人気は高くなっています。メンテナンスは15~25年です。
日本瓦:耐用年数50~60年
特徴:塗装メンテナンス不要で、1枚の破損でも交換が可能です。耐久性は抜群ですが、価格の高さと専門の職人が必要なことや重量があるため、耐震性が問題です。
セメント瓦:耐用年数20~30年
特徴:日本瓦より安価ですが、再塗装などのメンテナンスが10~15年で必要になります。重量がある点では日本瓦と同じです。
アスファルトシングル:耐用年数20~30年
特徴:重量はスレート屋根材の半分で、耐震性や防水性、防音性に優れています。軽さゆえに飛ばされやすいことやコケや藻などで汚れやすい点があり、施工職人が少ないことも問題です。
トタン:耐用年数10~20年
特徴:価格は一番安価ですが、メンテナンスが7~10年、耐用年数も短く、葺き替え屋根材としてのあまりおすすめはできない屋根材です。
屋根の葺き替えの費用相場
葺き替えをするということは、屋根にとって最後の手段、メンテンテナンスになります。費用も時間もかかりますが、それだけ屋根材としての役割が限界を迎えたということです。屋根材で耐用年数が違うように、葺き替えの費用も違ってきます。どの種類の屋根材に葺き替えるのかは、機能や予算を検討しながら、屋根修理業者とも相談しながら決めていきましょう。
屋根も葺き替えにかかる費用は屋根材だけではなく、前後に行う屋根材撤去や廃材処理の費用などもかかります。全体でだいたいの費用相場を知っておけば、費用準備に役立つでしょう。総額で30坪平均の家で考えると、140~200万円ほど考えておく必要があります。
では、作業工程と一緒に細かな費用相場を見ていきます。
1.足場設置作業:600~1,000円/㎡
まず、必ず、屋根の作業には足場設置が必須になります。削ることは不可でしょう。
2.養生作業:200~300円/㎡
周囲にほこりが飛び散らないようにする養生も必須になります。
3.屋根材撤去作業:1,200~2,000円/㎡
初めに既存の屋根材を撤去しなければなりません。
4.ルーフィングシート敷設作業:600~1,000円/㎡
ルーフィングシートの寿命も15~20年といわれ、屋根材と同じような耐用年数です。屋根の葺き替え時には一緒に新しくすることで、防水機能も一新されます。
5.野地板設置作業:2,000~3,000円/㎡
野地板の寿命は30年ほどといわれますが、役割が非常に重要な部分になります。ルーフィングシートや屋根材をつなぐことで、耐震性や耐風性に影響を与えることになるため、縁の下の力持ちが劣化することは絶対に避けたいものです。屋根の葺き替え時には、必ず点検は必要になります。
6.新規屋根材設置:4,500~9,000円/㎡
好みの屋根材を選択することはもちろんですが、せっかく新しい屋根材にするため、耐震性に関係する軽さを重視して選択したいものです。
7.棟の設置費:2,000~3,000円/㎡
雨漏りを起こさないような機能を新しく復活させます。
8.軒先、ケラバの設置費:1,500~2,000円/㎡
雨水や風から屋根を守る部分を新設し、機能を強化します・
9.廃材処理費:50,000~80,000万円/一式
既存屋根材を取り外した時の廃材の処理費用です。
10.運搬費:20,000~40,000万円/一式
新しい屋根材を運ぶ費用です。
11.現場管理人件費:20,000~40,000万円/一式
職人や管理者の人件費です。
12.アスベスト撤去費:20,000~80,000万円/㎡
アスベストが含まれている屋根材は、法令による撤去方法があり、別途費用が必要です。
※屋根の形状、地域、屋根修理業者で費用は変動しますので、相見積もりは必ず取るようにしましょう。
劣化を見極める屋根修理業者選び
屋根の葺き替えタイミングは、屋根修理業者に点検してもらわなければ、なかなかわからないものです。大きな費用がかかる工事になるため、技術が伴う、信頼できる業者選びが重要になるでしょう。相見積もりで、信頼できる屋根修理業者を選ぶようにしたいものです。選ぶポイントをお伝えします。
①駆けつけが早い地域密着業者
②屋根に関する知識や経験がある有資格者が在籍
③アフターサービスや瑕疵保証付
④問い合わせ時からていねいな応対
⑤見積書が詳細でわかりやすい
⑥自社施工を行い、下請けではないこと
家は一生の財産です。日頃から家についての相談ができる業者を持っておくことは、何十年と暮らしていく上での強みとなります。安心感がまったく違ってくるでしょう。
まだ決まった業者がない方は、屋根の葺き替えを機会に、長い付き合いが可能となる業者を見つけることを、ぜひ、おすすめします。