地震後の外壁や屋根は大丈夫?状態を知る点検について解説
当り前のように存在する自宅の建物ですが、一旦、地震が来ると、何もかもが心配になるのではないでしょうか。「外壁は大丈夫?」「屋根は大丈夫?」など、建物を存在させる根本が不安になるものでしょう。一見、外側は何でもないように見えても、内部がダメージを受けている可能性があるかもしれません。地震後の外壁や屋根を中心とした点検の重要性を改めて考え、チェックポイントを解説します。
地震後は早めの点検や対処が肝心
地震は、揺れが数度に渡って来ることになります。特に大地震ともなれば、大きな揺れが数日、数週間、数ヶ月と長引くことになるでしょう。早めに点検や対処をしておかないと、建物の安全性は失われてしまいます。建物が1回の揺れで大丈夫だったとしても、次回の揺れでも大丈夫だとは限らず、点検や対処は迅速でなければならないでしょう。
もし、地震後に雨漏りなどが発生した場合は、大変怖いことになります。建物の腐食を早めてしまい、建て直しまで視野に入れることになるかもしれません。いずれにしても、建物の点検は早めに行い、修理できる部分の対処はしっかり行いたいものです。
地震後の外壁や屋根点検は専門業者が適任
東日本大震災で建物の倒壊や半壊被害を目の当たりにしただけに、多くの方は地震で被るダメージの大きさにショックを受けたことでしょう。あれほどの大地震でなくとも、一度の地震が原因となり、これまで気づかなかった屋根の状態が悪化する可能性は大いにあります。
外壁はご自身で目視できる範囲はありますが、上のほうはわかりにくいものです。一番高い位置にある屋根では、なおさら上って確かめることは危険で、状態の判断も素人では難しくなります。
地震後の外壁や屋根の点検や診断から修理まで、やはり、専門業者に任せることをおすすめします。
地震後に行う外壁や屋根点検のチェックポイント
地震後の外壁や屋根点検は、専門業者に任せることがひとまず安心材料となりますが、ご自身でも自覚できる部分があれば、報告のためにチェックしておきたいものです。
①ひび割れ、膨らみ、ズレ、傾き
外壁や屋根がひび割れていたり、膨らんでいたり、ズレていたり、傾いていたりなど、すでにご自身でわかるようでは、かなり重症です。わからない場合でも、専門業者が点検すると、症状が発見される場合があります。少しでも症状があれば、雨漏りに移行する可能性があり、すぐの対処が必要でしょう。
②ドアや窓の開閉が困難
「ドアや窓の開閉が地震前までは普通にできていたのに、地震後からしづらくなった」という場合、明らかに建物が傾いている、変形していることになります。ご自身で自覚できることは、専門業者ならすぐ判断できるでしょう。
③屋根材や部材が落下
自宅周辺に屋根材の一部やくぎやねじなどの部材が落下していないでしょうか。何かが落ちていた場合、外壁や屋根に異変が起きている可能性が高くなります。
④外壁や屋根から異音
外壁や屋根からミシミシ、キシキシと、きしむ音がしないでしょうか。これらも部材の不具合がある可能性があります。
⑤雨樋の傾き、外れ
屋根や外壁に付属する部材、雨樋が傾いていたり、外れていたりはしないでしょうか。雨漏りの危険性があります。
地震後に起こるその他の不具合
地震後の異変は、外壁や屋根ばかりに起こるとは限りません。室内でも、『壁にひびが入る』『給水管の破損で壁や床に染みができたり、湿ったりする』などが起きることがあります。室外でも、『水漏れで周辺の土がぬかるんでいる』『雨の日のような臭いがする』『土台にひびが入る』などの現象が起きることがあるでしょう。
ご自身でも、しっかり状況を見逃さないようにしたいものです。
築10年以上の建物は特に要注意
「今まで点検や定期メンテナンスはしているから、地震があってもたぶん大丈夫」などと思っていないでしょうか。確かに、何もメンテナンスをしていない方に比べれば、メンテナンスをしている方のほうが安全性は高いでしょう。ただし、『絶対』ということはなく、油断は禁物です。
建物も築10年以上経っていれば、メンテナンスをしていたとしても新築とは違います。内部の隅々まで把握しているわけではありませんから、今日が大丈夫でも明日は大丈夫ではないかもしれないのです。たとえ、小さな地震だとしても、どこかにダメージがあるかもしれません。
地震後の外壁や屋根をはじめとする被害を少なくするために、『大丈夫』という意識ではなく、危機感を常に持ちたいものです。危機感を持っているといないとでは、地震後の対応にも差が出るでしょう。
地震に備え、建物のために日頃からチェックしておきたいこと
『地震があってから初めて気づく』ことを少なくするためには、日頃からこまめに建物の状態を把握しておくことが重要になります。少しの変化でもすぐわかるからです。何気ない習慣ですが、建物が発するサインに耳や目を傾け、事前に修理をしておくと、地震後も慌てることなく、冷静に対処できるでしょう。チェックしておきたいことをお伝えします。
①建物周辺の掃除
「掃除ならいつもしている」と思うかもしれませんが、意識して、注意をしながら掃除をすることが大事です。外壁や屋根、雨樋、地面など、ちょっとした変化が起きていないかを確かめながらの掃除になります。
②建物周辺に物を置かない
物を置くことで瑕疵部分が隠れてしまうことや、日陰ができることでシロアリの侵入経路になってしまうことになりかねません。いざという避難時に転倒の危険性を生んでしまうことにもなりかねず、できればすっきりとした状態にしておきたいものです。
③外壁や屋根材の性質やメンテナンス時期の把握
今ある建物の外壁や屋根材の性質を知っておくことも、役立ちます。メリット・デメリットを知ることで、次のリフォーム時の選択に役立つことになるでしょう。これまで、再塗装やシーリング、雨樋など、定期的なメンテナンスをしたことがあれば、時期の確認などを行っておくことも、心の準備につながります。
地震後の建物修理の補償は火災保険+地震保険
自然災害での擬壁や屋根修理には、火災保険の適用が可能ですが、地震の場合、地震保険にも入っていないと、火災保険だけでは適用されません。地震保険単体での加入はできず、火災保険と地震保険の両方に加入していなければ、地震後の建物損害費用は補償されないのです。
地震保険は任意ですので、強制ではありませんし、補償額も火災保険のように、申請すれば実損害が支払われる形式ではありませんので、加入は迷うところでしょう。
補償金額ですが、損害の程度によって保険金支払い上限額の30~50%と決まっています。さらに、建物は5,000万円、家財は1,000万円が補償の限度ということもあり、たとえ、全壊しても、建物を立て直すほどの費用は出ないかもしれません。
火災保険の補償申請より、専門家によるもっと厳しい判定で決まることにもなりますので、現在、契約している火災保険会社があれば、地震保険を扱っているかを問い合わせた上、相談することをおすすめします。
日本に暮らしている以上、地震に遭う確率はなくなるわけではありませんので、地震後の住まいを再建する助けとなる備えとして、地震保険の加入は検討しておく必要はあるでしょう。