【屋根材別】耐用年数とメンテナンスに適した時期の修理方法は?
屋根の耐用年数はメンテナンス次第
屋根の耐用年数を知ったとしても、必ずしも保証されている数字ではありません。あくまでも目安としてある数字です。ただし、困った症状が出た場合や、何も困った症状がなくても適切な時期に、修理や補修、葺き替えなどの屋根工事などを行った場合は、目安となる耐用年数が延びることもあります。
屋根の耐用年数を延ばすも縮めるも、メンテナンス次第だといえるでしょう。
一度もメンテナンスや屋根工事をしないとどうなる?
何十年も屋根材の劣化症状を放置し続けると、最終的には屋根からの雨漏りが始まる可能性はもちろん、他の箇所からの雨漏りも始まり、建物の内部まで影響を及ぼすことになります。雨水が浸入すると、建物内部の腐食にまで危険性が及ぶことになるのです。
雨漏りが起きてから慌てても数日では修理できず、屋根全体を葺き替えるような大規模な屋根工事になってしまうでしょう。屋根工事の費用も高くなってしまいます。もっと早く点検・診断をしておけば良かったと後悔しても遅いのです。
そうならないためにも屋根材の耐用年数を知り、しっかりした屋根工事でメンテナンスを定期的に行うことは必須となります。建物を大事にしたいのなら、新築の時点から屋根材や屋根工事についての知識を持っておくことは大事です。
屋根材別の耐用年数とメンテナンス時期の目安
屋根材の点検・診断は早いほど、ダメージを減らすメンテナンスが可能です。耐用年数に安心せず、業者に早めの点検・診断を依頼しましょう。
そうすれば、「今は大丈夫ですが、数年後にまた点検・診断をしたほうがいいです。」など、具体的な状況と今後のアドバイスをしてもらえることもつながります。
主な屋根材の種類 |
耐用年数 |
メンテナンス時期の目安 |
スレート |
15~25年 |
10~15年 |
アスファルトシングル |
20~30年 |
10~15年 |
トタン |
10~20年 |
8~10年 |
ガルバリウム鋼板 |
20~30年 |
10~15年 |
セメント瓦 |
30~40年 |
10~15年 |
日本瓦 |
50~100年 |
20~30年 |
※瓦屋根では、メンテナンス不要という情報もありますが、点検や診断は必要で、下地補修については必須です。
屋根材以外にも同じようにメンテナンスが必要
屋根を構成しているのは、屋根材ばかりではありません。他の主な部材の耐用年数とメンテナンス時期の目安も覚えておきましょう。
屋根材以外の主な部材 |
耐用年数 |
メンテナンス時期の目安 |
防水シート |
10~20年 |
屋根材のメンテナンス状況次第 |
野地板 |
20~30年 |
屋根材のメンテナンス状況次第 |
棟板金 |
15~20年 |
10年前後 |
屋根材の劣化症状と適した屋根工事
特に屋根は目視で劣化症状を見ることが難しい箇所になります。すでに何らかの劣化症状が見られるなら、かなり症状としては進行しているといっていいでしょう。
屋根材ごとに表れる症状はありますが、主な症状としてはどの屋根材にも同じようなことが見られます。何年経つとどんな症状が出るのかはそれぞれの環境で違ってくるため、一概にいえるものではありませんが、必ず何らかの症状は出てくるものです。では、劣化症状と適した屋根工事を見ていきます。
屋根材の劣化症状 |
屋根工事の種類 |
||||
部分補修(接着剤+コーキング材) |
塗装 |
部材交換 |
葺き替え |
カバー工法 |
|
①カビ・藻・コケが発生し、黒ずむ |
○ |
◎ |
|||
②変退色 |
○ |
◎ |
|||
③塗装剥離 |
○ |
◎ |
|||
④ひび割れ |
◎ |
○ |
◎ |
○ |
○ |
⑤欠け |
◎ |
○ |
◎ |
○ |
○ |
⑥ズレ |
◎ |
○ |
◎ |
○ |
○ |
⑦抜け落ち |
◎ |
◎ |
○ |
○ |
|
⑧反り |
◎ |
◎ |
○ |
○ |
|
⑨めくれ・はがれ |
◎ |
◎ |
○ |
○ |
|
⑩穴あき |
◎ |
◎ |
○ |
○ |
※葺き替え・カバー工法は、劣化の具合が激しい場合の最終的判断になり、どちらを選択するかは、屋根材と費用の検討によります。
いざという時、屋根工事はどこに依頼すればいい?
屋根工事を依頼するなら、考えられる候補は以下のような業者になります。どこもメリットやデメリットはありますので、建物を購入した時の契約書を確認し、費用なども照らし合わせた総合的な判断をして依頼することをおすすめします。
屋根工事が依頼可能な業者 |
メリット |
デメリット |
ハウスメーカー・工務店 |
●屋根の最初の状態を把握 ●新築では、法律で10 年の瑕疵担保責任が決められており、特約にすれば20 年の延長も有。元請けが倒産しても、保証は有効。 |
●同じ会社で屋根修理をした場合での保証という条件がある可能性。 |
塗装専門会社 |
●塗装にかけては知識や経験が豊富で、現状に最適な提案をしてもらえる。 |
●塗装以外での知識や経験は不明で、他の屋根工事には対応できない場合がある。 |
屋根修理専門会社 |
●板金専門・瓦専門に分かれ、屋根工事のことなら専門知識や経験が豊富。 |
●屋根工事以外の修理箇所が見つかった場合、対応できない可能性がある。 |
リフォーム会社 |
●幅広く業務を行うため、屋根工事にも対応可能。 ●民法で1年の保証期間有。●会社独自の施行保証がある場合も有。 ●屋根材メーカーの保証が適用される場合も有。 |
●屋根工事が不得意な会社も有。 ●瑕疵担保責任は無。 |
※太陽光パネルが設置してある場合、取り外しや再設置で元の保証が無効となる場合があり、太陽光パネル業者と屋根工事業者の確認が重要になります。
屋根工事を含め、修理をするなら相見積もりは必須
建物の安全と安心を任せるのですから、いい加減な業者には任せられません。優良業者と悪徳業者を見抜く方法にもなるため、おすすめしたいのが相見積もりです。業者に屋根の状態を点検・診断をしてもらうと、状態は同じわけですから、工事内容の提示が重要になります。
同じ工事内容が出てくることもあれば、少し違う工事内容が出てくることもあるかもしれませんが、根拠をよく聞いた上で、なるべく同じ工事条件や部材にしてもらい、3社以上に相見積もりを取ることをしましょう。
あまりにも安い費用を提示してくる業者や他の業者から聞いていない工事内容があったなどすれば、確認が必要です。怪しく、曖昧な説明しか出てこないようなら、その業者は検討から外すことが賢明です。
今だけでなく、これからもいろいろな箇所のメンテナンスをお願いするかもしれない業者です。費用面だけでなく、「具体的な工事内容が記載されているか」「担当者に情熱があるか」「担当者と相性が良く、何でも相談できそうか」など、多方面から検討をすることをおすすめします。
屋根工事のためにしておきたい最後の準備
これまで見てきたように、屋根材の耐用年数や劣化の症状、屋根工事の知識、業者の選び方など、屋根工事を依頼するために準備しておくことはたくさんあります。最後に最も要になるのは、費用の問題です。相見積もりで費用は出てきますが、その時点で費用がないというわけにはいきません。
よって、それまでにだいたいの費用相場をわかっておき、用意の準備も心得ておかなければならないでしょう。
小さな修理では数万円、大きな修理では100~200万円はかかってしまいます。必ずしも現金で用意しなくてもいいのですが、新築のうちから修繕用の費用をある程度積み立てておくことが一番堅実な方法です。